2020年2月 カラダコラム

2.カラダコラム
- 「腸活」について -

最近、巷では「腸活」が流行っています。腸内には数百万種を超える細菌がいるとされていますが、その細菌の状態により腸内の環境が変わるため細菌の状態を良くして腸内環境を整えよう、ということのようです。また、腸内環境は肥満と関わることが知られているので、「腸活」に多くの関心が集まっているのかもしれません。

細菌は腸で何をしているか、という事ですが、大豆、野菜、穀類、果物、キノコなどに含まれる食物繊維を分解してくれているのです。食物繊維はヒトが作る酵素では分解されないので、腸内細菌が作った酵素に分解してもらっています。

では、どうして肥満と関わりがあるのでしょうか。食物繊維は分解されると短鎖脂肪酸と呼ばれる物質を作ります。短鎖脂肪酸は腸内を酸性にして悪玉菌を減らして善玉菌を増やす他、ホルモンの分泌を促して食欲を抑えたり、脂肪の蓄積を抑制してエネルギーを燃やそうとしてくれます。腸内細菌のいないネズミに脂肪ばかり食べさせたネズミの腸内細菌を投与したところ、投与されたネズミの体重が増えてしまったそうです。つまり、食物繊維を食べないと腸内の善玉菌が働けず腸内環境が良くならないのです。「腸活」とは、食物繊維を食べる事、とも言えます。

食物繊維を食べることの良さは、それだけではありません。腸内で水を吸収して容量を増し排泄を促すため、糞便の滞留時間を短くし有害物質を速やかに排出してくれます。また、ゲル状になって脂質、糖質を取り込み、肥満をもたらす物質を排泄してくれたり消化吸収を遅らせてくれます。さらに良い事には、コレステロールを排泄してくれるのです。食物繊維が少なく脂質の多い食事を続けていると、肥満症、糖尿病が発症することも分かっています。ただし、食物繊維の過剰な摂取も良くないとされているので、摂り過ぎないように気をつけなければなりません。

今、「腸活」と称して食物繊維の効果を大袈裟に訴え、関連するサプリメントや薬を販売する場面を見かけます。実際、サプリメントや薬は糖尿病、肥満症の治療に使われているものもありますが、私は、レテの皆さんには、そのような物に頼る事なく、たっぷりの食物繊維を食べて運動をし、いつまでも元気でいて欲しいと思っています。

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